ゆこの机の上と本棚

机の上に積んである本たちと日記

代筆屋

辻さんの他の本を拝読してから、辻さんの文章をもっと読んでみたいと思っていた時に見つけた本。


f:id:SakusakuP:20220206004828j:image

手紙の代筆を承るお仕事のはなし。

最初ご自身の体験記かと思った。たぶんちがう。手紙を書くのは結構、頭と気持ちの重労働。けれど私はそれが好き。これが結構稀である事だと知ってる。

特に好きな人への手紙は本当に時間がかかる。何てことない短文でも、ものすごい時間内容を考えながら書くこともある。きっと書いたことがない人には想像もつかないと思う。

誰かに伝えたい思いがある。それがある時点で、たとえその思いを伝えられなかったとしても、その感情を抱いた事自体がとても素敵だ。

自分を自分から吐き出す事で見えてくるものがある。それが口から出る言葉であれ紙の上の文字であれ、自分の外に出す事で新しい何かに気付くことがある。経験した事がない人はぜひ試してみてほしい。

 

最近私がちょっと悲しかった手紙の話がある。私が送った手紙が、送った相手の部屋に飾られていたのを見た。とても嬉しかった。でもたぶんあれは、手紙が嬉しくて飾ってくれたのではなくて、あの手紙の模様が可愛かったから飾っていただけだ。気に入ってくれたのであれば嬉しいよ、飾ってくれてありがとう。

嬉しかった、でも、なんだかせつないなぁ。