しごとのこと
しごとの先輩のこと
新入社員時代の少し悪い思い出について。
先輩から、“お菓子とばし”にあった事
悲しかった。
でも、その頃は“私しごと出来ないし仕方ないな...”って思って飲み込んだ。
楽観的な私でも、みじめで忘れられなかった。
お菓子が食べたかった訳じゃない。
仕事が不出来な私自身の存在の軽さと無意味さを、公衆の前で指差された気持ちになった。
お菓子に喜ぶ仲間の中で、1人で気付かないふりをして仕事を続けた。
今私はその先輩の上司になった。
つい最近、年始に後輩や仲間にお菓子を渡して新年の挨拶をしていた時、その先輩の少し前でお菓子が無くなってしまった。
年始の挨拶に来る人が多い事を予測していなくて、お菓子が足りなくなった。
その先輩と同じ事をどうしてもしたくなかった。
私は休憩時間にお菓子を買いに行った。
年始の人混みの中買いに行くのは時間がかかった。
戻ってきたら、先輩は既に居なくなっていた。
お菓子を渡さなかった私と、渡されなかった先輩。
真実は置いておいて、
昔の私と先輩の状況と同じになっていた。
もう意地だった、何がなんでも渡そうと思った。
お菓子を1つだけ自分のロッカーに残して、その日は帰った。
次の日、
「昨日渡そうと思ったら居らっしゃらなくて、
よかったらもらってください」
そう言って渡した、何て事無く受け取ってもらえた。
先輩は知らない。
先輩はきっと覚えていない。
あの小さなお菓子は、私の小さな復讐。
それと、過去の私の自尊心への慰め。
復讐は同じ事をやり返す事じゃない。
同じ事をして自分の価値を下げてはいけない。
あなたと私は違う、という事を
自分に思い知らせるんだ。